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ベクトル画像とラスター画像

コンピュータの中では、すべてがデジタル化(数値化)されて記録されています。画像も例外ではありません。画像はどのようにデジタル化できるでしょうか。図 4.6 (A) のような簡単な画像を例として考えてみましょう。

図 4.6: ベクトル画像とラスター画像

この画像は、楕円と長方形からできています。これを記録するために、まず座標を定義し、その座標系での楕円と長方形の位置を記録する方法が考えられます。図4.6 (B) のように座標を定義し、楕円と長方形の位置が決定したとしましょう。楕円を表すコードを oval とし、長方形を表すコードを rect とすると、

    5 27 37 49 oval
    26 7 49 46 rect

などと書けます。この記述はすべてデジタル化が可能ですから、これでコンピュータに記録できることになります。このように座標と図形のコードを記録する保存形式をベクトル形式とよび、ベクトル形式で保存された画像をベクトル画像といいます。

もう一つのアプローチとしては、画像をある程度細かいマス目で分割し、一つ一つのマスの色を数値化して記録する事が考えられます。実際には、一つのマスが一種類の色だけで塗られているわけではないのですが、そこは適当にごまかして一つの色だけを記録するわけです。例えば今の例を、図4.6 (C) のように分割して左上から右に向かって順番にマス目の色を調べていき、一つ一つの色をデジタル化して保存します。色をデジタル化するには様々な方法がありますが、もっとも単純なものは、白は 0、黒は 1、灰色は 2、というように使用する色にあらかじめ番号を振っておくものです。そうすると図4.6 の画像は

    0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
    0 0 0 0 2 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0
    0 0 2 2 2 2 2 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0
    . . .

などというようにデジタル化してコンピュータに保存できるようになります。このような形式で保存された画像を、ラスター画像といいます。図 4.6 (C) では、説明のためにマス目を大きく取っていますが、分割を細かくすればするほど保存される画像はなめらかできれいなものになります。その分容量も大きくなるわけですが。

ベクトル画像は、幾何学的な図形であれば高精度のものをあまり容量を取らずに保存することが可能です。また、ディスプレイやプリンタなど出力する装置の表示能力にあわせて画像を生成すれば常に最適な描画が可能です。このことから、ベクトル画像は印刷するためのグラフなどを作成するのに適しています。一方、画像が幾何学的な図形で表現しにくいものである場合には、ラスター画像が適しています。例えば、デジタルカメラで撮った写真などですね。また、ラスター画像は表示のための処理が簡単なため、元々はベクトル形式で作成したような画像でも、それを他の人に見てもらいたいような場合にはラスター画像に形式を変換することがあります。皆さんが目にするウェブページの画像も、ほとんどがラスター画像になっています。

ここでは Gimp というソフトを使って、ラスター画像を作ってみましょう。Gimp はもともと、スキャナから取り込んだ写真を加工するためのもので、写真の色や明るさを調整したり、様々な効果を加えたりすることが得意です。



NAGATO Yasushi 平成16年4月6日