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M君の夜番日誌 〜 RIISEの夜の物語 〜

< 平成9年7月 物語前夜 >

そう、あれは大学院入試の始まる前。ある夏の日の出来事だった。

 4年生だった私は、若さがあれば、人生のどんな冒険にもチャレンジできるよ うな気がしていた。

生協の食堂にて

Nセンター長「M君、10月からRIISE(情報教育研究センター)でアルバイトをしてみないかね?」
U指導教官 「でも、M君には難しいんじゃないの? コンピュータに詳しいやつらが、難しい質問をしてくるよ。」
Nセンター長 「大丈夫。そういう人たちは、問題が起こったら自分で解決する。」
N助手「それに、かわいい女の子が質問に来る事もある。」
わたし「やります!」
Nセンター長「時給はTAなみ。」
わたし「絶対、やります!!」

ふっ・・・あのころはまだ若かった。

< 平成9年10月 物語の始まり >

 10月1日。仕事内容の説明を受ける。

 また、ほかの人達と働く日程の調整をした。火曜日と水曜日の夕方5時から夜9 時までが私の担当である。さあ、これからバイトだ!そう、すべての手続が完了 した後のことであった。

Nセンター長 「みなさん、悪い知らせです。どうも時給は、TA程よくないそうです。」

うっ、体から力が抜けていく。しかし助手のNさんの言葉を思いだし、私はさわやかな笑顔で仕事を開始した。

< 平成9年11月 困った人たち >

 さて、夜番をする事になったのだが、どうも困った人たちがいることに気づい た。

(1)勝手に電源を落とす人たち
(2)パスワードを忘れてくる人たち
(3)ログアウトせずに帰る人たち
(4)意味不明の大量印刷、印刷したものを持って帰らない人たち
(5)マナーが悪い人たち
(6)端末を手荒に扱う人たち

などなど。困ったものだ。とりあえず、手引き書をよく読んでほしい。

何かわからないことがあったら、準備室へ。 何があっても、勝手に電源を落としてはいけません。これまで何台のコンピュータが病院送りになったことか・・・
< 平成9年12月 クリスマスイブ >

 卒業研究と夜番だけの人生。せめてクリスマスイブの日くらい幸せになろう。 今年の12月24日は水曜日だ。つまりバイトの日。えっ、ということはイブの夜 にバイト?

 がーん。私の目の前は真っ暗になった。

 しかし、冬休みなのでRIISEは夕方5時まで。うれしい!・・・と、思いきや某 研究室の「抜け駆けはだめよ。麻雀大会 -- 幸せになろうなんて10年早い」に引 きずり込まれてしまった。

< 平成10年1月 卒論 >

 もはや、一刻の猶予もなかった。卒論の締め切りが迫っているのだ。ぎりぎり まで実験をやっていたのがそもそもの間違いだったのだが、今更悔やんでも仕方 がない。時間がない。そう、ただひたすらに時間が無かったのだ。

 準備室にキーボードをたたく音が響きわたる。私はセンターのバイトをしつつ、 卒論の作業を並行して進めていた。たとえキーボードの打ちすぎで腱鞘炎になろ うとも、コーヒーの飲み過ぎで胃が破壊されようとも、ただただ卒論を書き上げ なければならない。

 しかし、現実は甘くない。1月末はレポートのシーズン。こんなときに限って 質問が次々と来る。早速ドアをノックする音が。

女の子「あのー、すみません。」
わたし「なんでしょう?」
女の子「ちょっと質問なんですけど・・・。」
わたし「はい?」
女の子「ホームページの見方を教えてください。(ニコ)」
わたし「・・・(プチ)」

て、手引き書を読んで自分で勉強してくれー。思わずそう叫びそうになった。し かし、仕事は仕事。そう、これが夜番のつとめ。徹夜で眠かろうと、締め切り一 週間前に卒論が半分以上白紙であろうと、挙げ句の果てに実験装置が壊れて大パ ニックになったとしても、仕事は仕事なのだ・・・

基本的なことは手引き書に書いてあります。よく読みましょう。
< 平成10年2月 チョコレートの日 >

 今日はチョコレートの日だ。「夜番のMさん、いつも親切に教えてくれてあり がとう。」とたくさんの女の子がチョコを持ってきたらどうしよう。しかし、残 念なことに春休み。、夜番はない。がっくり。

< 平成10年3月 別れ >

 久しぶりに大学に来て、ちょっと顔でも出してみようかとRIISEを訪れた。す るとそこには、準備室で働く事務補佐員Hさんの姿があった。

わたし「こんにちはー。」
Hさん 「あ、こんにちは。」
わたし「おひさしぶりです。」
  ・・・
Hさん 「あ、あのー、実は私3月いっぱいでここをやめることになりました。」

 がーん

ショックで2,3日立ち直れなかった。

< 平成10年4月 RIISE大人気 >

 どうも最近のRIISEは大人気である。まだ4月なのに新入生の利用者が多く、昼 休みともなれば超満員である。当然、それに比例してトラブルの件数も増える。 ああ、頭痛が・・・

利用者が多いため, 順番に並んで待ってもらうようになっています. みなさまの ご協力をお願いします. なお, 空席がモニターに表示されるようになっています.
< 平成10年5月 FTP講義 >

 RIISEにあるファイルを総合情報処理センターに送りたいという人が現れた。 それから延々、FTPについて語る羽目に。あれ待てよ。フロッピーにセーブして 持っていけ、といえばすぐじゃないか。むむ、まだまだ修行が足りないかな。

ファイルの転送 (FTP) については UNIX の本を見て下さい.
< 平成10年6月初旬 端末、危機一髪 >

 勝手に電源を落とした人がいた。何でもスクリーンセーバを起動した後、元の 画面に戻れなくなり電源を落としたようだ。

< 平成10年6月下旬 スチューデント・アドバイザー:SA>

 一部の新聞でも取り上げられたSA。SAとはStudent Adviserの略で、パソコン 操作などで困った人たちを、ボランティアで助けてくれる学生のことだ。6月10 日からSAの募集を始めたところ、すぐに7人の2年生の応募があり、6月下旬から 実際に働いてもらうことになった。

 「これで、かなり楽になるのでは?」しかし、運のない某M氏。彼らのいないと きに限って質問が来る・・・

コンピュータのディスプレイの上に置かれた怪しいピラミッド型の置物(新しい 事務補佐員の M さん作) が SA さん目印です. わからないことがあったら気軽 に相談しましょう.
< 平成10年7月 レポート >

 レポートのシーズンだ。トラブルに関する質問もさることながら、中には授業 の質問に来る人もいる。

質問者A:ホームページの作り方を教えてください。
わたし :授業で習わなかった?
質問者A:聞いたけどよくわかりませんでした(まだ許せる?)
質問者B:寝てました。(は?)
質問者C:よくわからないので適当に作ってください。
わたし:・・・

講義はちゃんと聞きましょう.
質問者D:ホームページがうまく作れません。
わたし:どれどれ・・・
わたし :あれ? HomePageっていうフォルダがないけど? ファイルになってますね。
質問者D:そうなんですか?
わたし :ところで、ファイルとフォルダの違い、それぞれの作り方知ってる?
質問者D:授業でなんかゴチャゴチャいってたけど、よくわかりませんでした。

ファイルとフォルダは難しいのかな? あれ、後ろでN先生がぶるぶる怒りで震え ている。

(かつゆき記)


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