title

「センター長の苦悩(*)」

桃唐先生 「うー、暑いなあ。新しく出来た3階のマルチメディアフロアーは どうしてこんなに暑いんだ。そうだ、情報化グループ学習室でアイスクリームを食べよう」
アナウンス 「桃唐先生、桃唐先生、情報化グループ学習室でアイスクリームを食べるのはおやめ下さい!マルチメディアフロアーでは飲食は禁止されています。なお、当フロアーは防犯カメラで常時チェックを行っております。」
センター長 「桃唐先生、教官がそんなことをしては困ります。この間も、2階のポスタープリンターでエッシャーの絵を大きくプリントして、折り紙にして遊んでいたでしょう。ポスタープリンターは研究教育用で、利用依頼も多いのですから。」
桃唐 「あっ、N先生。いや、あれは今度の国際会議のポスターセッション用に使わせていただこうとテストをしていたので、、、ポスタープリンターは利用価値が高いですね。それに、こういうサービスで学内のいろいろな分野の人たちと交流できるのもいいですし。この間も、S-S学部の方が、研究室製アイスクリームを持ってきてくれて、私もお相伴しました。もっとも、準備不足の原稿を持ってきて、何とかしてくれという人も結構いて、SさんやMさんが夜遅くまで苦労していることもありますが。(**)
しかし、ポスタープリンターも人気だし、ビデオ編集装置やカメラも、SAの人たちがどんどん利用したり、K学部の人たちが教材作りに利用したり、そして今度オープンした3階も、ときどき待つ人がいるほど盛況だし。センターの未来は明るいですね。おや、どうしたんですか、難しい顔をして」
センター長 「利用率から言えばその通りなんですけどね。でも、我々の情報教育が本当に成功しているのか考えてしまうことがよくあるのです。確かに学生たちは電子メールもWWWブラウザもどんどん使いこなしています。インターネットを利用して情報の受発信をしている、と言えば言えます。でも、実はその大部分は、友達との遊びのメールだったり、ウェブも面白いから見ているので、我々の目的である『知的な道具』として本当に使っているのでしょうか」
桃唐 「うーん。しかし、道具として使いこなせるようになってくれればあとそれを使ってどう成長してもらうかは、大学全体の課題 ですから、センターだけが頑張っても、、、」
センター長 「しかし、学生から来るメールでも、自分が誰で あるか名乗らずにいきなり質問を始めたり、課題のレポートをウェブから単にコピー・ペーストして作ったり、著作権のことを考えずに自分のホームページを作ってしまったり。そういうのを見ていると考え込んでしまいます。もちろん、非常に有意義に使ってくれている学生もたくさんいますが。」
桃唐 「電子メールでの礼儀や、ホームページでの著作権の話は教わってきていないでしょうから、情報教育でやらないといけませんね。でも、そもそも躾が出来ていないという人もいるんじゃないかなあ。センターの机の中にゴミを突っ込んでいったり、空き缶を放置していったりする学生もいますからね。躾センターが必要かな。まあ、そういうのは、見つければ私がねちねちととっちめてやりますが。大学生というのは、時にはめをはずしても、高い教養とモラルを身につけるべく自己トレーニングしていくべきだという矜持を持った学生が減っているのは全国的な傾向ですね。」
(*) 本稿はフィクションです。
(**)ポスタープリンター用原稿作成にあたっては
  http://www.riise.hiroshima-u.ac.jp/Library/RIISE-Comp/posterprinter/
  をご覧下さい。

戻る