学習意欲継続のためのeラーニング教材チェックリスト

2016.6.10 last update

このチェックリストについて

作成者:天野 由貴 (熊本大学大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻 修士論文)論文(PDF)

eラーニングは,時間・場所の制約を受けずに学習をおこなえることから有効なものですが,対面授業のようなその場での質疑応答,学習支援などがおこなえないという問題があります。
学習者はひとりで学習に取り組み,自分でペース配分をしなければならないことが多いと思われます。
そのような状況の中で学習意欲を継続させることは難しいことです。

eラーニング教材に「学習意欲を阻害させる要因を含まないこと」「学習意欲を継続させる工夫」の2点が必要であると考えました。.

  • 学習意欲を阻害させる要因=情報デザイン(Information Design)的な欠点:ユーザビリティ,アクセシビリティ
  • 学習意欲を継続させる工夫=インストラクショナル・デザイン(Instructional Design)の技法:ARCSモデル

ARCSモデルは,Kellerの提唱した学習意欲モデルで,A:注意(Attention),R:関連性(Relevance),C:自信(Confidence),S:満足感(Satisfaction)からなっているものです。
ARCSモデルについての詳しい説明

以上のことをふまえ,学習意欲を継続させるeラーニング教材作成を目的としたチェックリストを作成しました。
eラーニング教材を作成した教員が,Information Design&Instructional Designの2つのIDの知識がなくとも,教材に足りない点や改善したほうが良い点などの気づきを得られるよう自己チェックできるようなものにしました。

チェックリストのカテゴリ

「学習意欲を阻害させる要因を含まないこと」「学習意欲を継続させる工夫」の2点を柱とし,鈴木克明の提唱する「eラーニング質保証レイヤーモデル」をあてはめました。
さらに,それぞれに含まれる大カテゴリ,中カテゴリ,小カテゴリを図のとおり設定しました。
カテゴリの内容に沿ってチェックリストを作成しました。

レベル2の「学習支援設計」については,教材だけで解決できる要素が少ないため,本チェックリストには含んでいません。

チェックリストのカテゴリ 

参考文献:「IDの視点で大学教育をデザインする鳥瞰図:eラーニングの質保証レイヤーモデルの提案」鈴木克明,日本教育工学会第22回講演論文集,pp.337-338,2006.

チェックしてみる

下のボタンをクリックすると,チェックをすることができます。
最初に,チェックする対象のeラーニング教材の構成要素についてお聞きしてからチェックが始まります。

  • 対象者:eラーニング教材(LMS設置のものも含む)を作成している教員
  • 対象:作成済みのeラーニング教材
  • 目的:Information DesignとInstructional Designの両方について,チェックを行ない,教材に足りない点の気づきを得る
  • 結果から:学習意欲継続の工夫について,知見を得られる

※チェック内容は記録されます。今後の研究に活用させていただきます。

チェックリスト作成の参考にしたもの