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ファイルとディレクトリ--ツリー構造

図 4.1: ファイルビューア

コンピュータの中には、いろんな情報が入っています。例えば、エディターアプリケーションやワードプロセッサーで書いたような文書情報、あなたが受け取った電子メールの情報、あるいは、これまでに説明してきたいくつものアプリケーションを動かす為の情報といったようなものです。こういった様々な情報を扱う単位がファイル (file)です。

沢山のファイルを保存、管理しておくには、どのように整理しておくのが良いでしょう?ファイルの種類に応じて、それらを一括りにする箱を用意するのがうまい方法で、この箱の事をディレクトリ (directory) (あるいは、フォルダ folder)と呼びます。ディレクトリは現実の世界のフォルダと同じような働きをしますが、もっと柔軟に使うことができます。コンピュータの許す限り沢山のファイルを入れることができますし、ディレクトリの中に別のディレクトリを入れることもできます。

ファイルやディレクトリを整理するためには、ディレクトリに入っているものを確認したり、ファイルを別のディレクトリに移動したり、コピーを作ったり、名称を変更したりする必要があります。このような操作のためには、ログイン直後に現れるファイルビューアを利用します。gmc (gnome midnight commander) という名前です。前項の説明を読んで実際にファイルを作ってみた場合、ファイルビューアには図4.1のような項目が表示されているはずです。

このウィンドウが表示されていない場合は、画面左上の「Home Directory」と書かれたアイコンをダブルクリックしてください。これをダブルクリックすることで、いつでも上のウィンドウを呼び出すことができます。

図に示してあるように、保存されているファイルやディレクトリは小さな絵で表されます。この小さな絵のことを、アイコンと呼びます。ディレクトリのアイコンはいつでも同じ絵ですが、ファイルのアイコンは書類の種類によって絵柄が異なります。この図に示されているのは、テキストファイルを示すアイコンだけですが、今後いろんなアイコンを目にすることになります。以下にいくつかのアイコンの例をあげておきます。

先ほど、コンピュータの中ではディレクトリという箱でファイルが整理されていると書きましたが、皆さんの一人一人に専用のディレクトリが用意されています。そのディレクトリには、持ち主だけがファイルを保存することができ、他の利用者は保存ができないようになっています。このディレクトリを、ホームディレクトリと呼びます。ログイン直後のファイルビューアには、ホームディレクトリの内容が表示されています。

みなさんの中には、3.3.10で作成した .signature ファイルが表示されていないのを不思議に思った人もいるのではないでしょうか。「.」(ピリオド)で始まるファイルは隠しファイルになっていて、初期状態では画面に表示されません。この隠しファイルには、コンピュータを利用する上で必要な情報が書かれており、誤って削除したりすることのないように表示しない設定になっています。

では、まだあまり沢山のファイルがないのですが、皆さんのホームディレクトリの内容をちょっと確認してみましょう。

fig/file03.eps ディレクトリを開いて、内容を確認するためには、ディレクトリ・アイコンをダブルクリックします。Mail というディレクトリがありますので、これをダブルクリックして開いてみましょう。

中には、inbox と outbox という名前のディレクトリがあるはずです。inbox には、皆さんが受け取ったメールが、outbox には送信したメールがテキストファイルとして保存されています。inbox をダブルクリックして開いてみましょう。

個人個人で内容が異なりますが、数字の名前がついているいくつかのファイルがあるはずです。皆さんの受け取ったメールの一つ一つが、それぞれのファイルに対応しています。今 inbox というディレクトリの内容を表示していますが、inbox を含む元のディレクトリに戻りましょう。現在表示しているものを包含するディレクトリ(親ディレクトリといいます)を表示するには、「..」と書かれたディレクトリ・アイコンをダブルクリックします。

ホームディレクトリに戻ってみましょう。もう一度「..」と書かれたディレクトリ・アイコンをダブルクリックしてもよいですが、メニューの下にある「ホーム」と書かれたボタンをクリックすると、どのディレクトリを見ている場合でも一発でホームディレクトリに戻ります。「ホーム」のアイコンをクリックしましょう。

さて、この操作で、ディレクトリが階層になって作られていることがわかったと思います。ホームディレクトリの中に Mail というディレクトリがあって、さらにその中に inbox と outbox が…という具合ですね。このことを図4.2のように模式的に表すことができます。黒い四角(■)がファイルを表しています。

図 4.2: ディレクトリ(フォルダ)のツリー構造の概念図
階層構造が簡単な場合は、左の方が直感的でわかりやすいと思いますが、ディレクトリの数が多く複雑になってくると、右のような形で表示した方が便利です。この図を180度回すと、樹の幹から枝葉が出ているように見えることから、このような構造をツリー構造といいます。

ファイルビューアの左側の部分はディレクトリのツリー構造を示しており、クリックすることで、対応するディレクトリの内容を表示させることができます。この部分を見てみると、皆さんのホームディレクトリは、別の大きな親ディレクトリに含まれていて、その親ディレクトリもまたさらに親のディレクトリに含まれているということがわかります。このようにどんどん遡っていくと、最後にはこれ以上親がいないというディレクトリにたどり着きます。この大親分みたいなディレクトリはツリー構造の根っこ(root)にあたりますので、ルートディレクトリと呼ばれます。コンピュータの中のファイルやディレクトリは、ルートディレクトリを根っことするツリー構造を成していて、皆さんのホームディレクトリもそのツリー構造の一つの枝として存在しているということです。

このように、コンピュータの中には多くのファイルやディレクトリがツリー構造を成して存在しているわけですが、その中の一つを指定するにはどのようにすればいいでしょうか。ルートディレクトリの中にある home ディレクトリの、そのまた中にある user1 ディレクトリの…という風に延々とディレクトリを指定してゆけば、目的のものにたどり着くわけですが、たどっていくディレクトリを列挙し、それぞれを / (スラッシュ) で区切って表記することになっています。例えば皆さんのホームディレクトリの中にあるkurumi.txtというファイルは

/home/user1/ub123456/kurumi.txt
といった風に書き表すことになっています。樹をたどって目的のものにたどり着く道筋 (path) を表記したものなので、これをパス名4.2といいます。ファイルビューアの「場所」の欄には、現在注目しているファイルやディレクトリのパス名が表示されています。

以下では、ファイルビューアを使ってファイルやディレクトリを操作する方法について説明します。



NAGATO Yasushi 平成16年4月6日