この項の冒頭で紹介したように、Gimp はラスター画像を作成・編集するためのソフトウェアです。ラスター画像は、沢山のマス目(ピクセルといいます)に色を付けることで画像を作るのですが、マス目の一つ一つに対して色を決めていくのではあまりに非効率的ですね。Gimp のようなソフトウェアでは、複数のピクセルに対して操作をするための機能が用意されています。例えば絵筆の機能を使うと、マウスで画面をドラッグするだけで適切な位置のピクセルの色が変更され、実際の絵筆で描いたような結果を得ることができます。
Gimp には沢山の機能が搭載されており、その中でもよく用いられるものが一つのウィンドウにまとめられています。Gimp を起動したときに表示される、アイコンが並んだウィンドウがそれで、ツールパレットと呼びます。すべてを紹介するわけにはいかないのですが、ここではツールパレットにある二、三の機能について実際に使ってみながら説明しましょう。
図を作成するためのウィンドウを開きましょう。前項の要領で Gimp を起動し、ツールパレットのメニューから「ファイル→新規...」を選択します。すると、左のようなパネルが表示されます。「画像のサイズ」と書かれたところで、作りたい絵の大きさを指定するわけですが、この数値は、図4.6 (C) のマス目の数に相当します。今回は、既定値の「256256」のままにして「了解」ボタンをクリックしましょう。すると、タイトルバーに「名称未設定」と書かれた新しいウィンドウが出てきます。ここに絵を作っていくことができます。 |
まず、絵筆を使ってみましょう。絵筆を使うには、ツールパレットの「絵筆アイコン」をクリックします。すると、マウスポインタの形状が変わり、現在絵筆が使える状態であることを示します。キャンバスの上にマウスポインタを持っていき、適当にドラッグしてみてください。実際に絵筆を使っているように絵を描くことができます。
描かれたものの端をよく見てください。描画色が黒で背景が白の場合、灰色のピクセルが絶妙に配置され、端がなめらかに表現されています。黒で描くときに、黒のピクセルだけを置くと、端がギザギザになってしまうことがあるのですが、これを防ぐためにこのような処理がなされています。このように描画色と背景色の中間の色を端に配置してなめらかに表示する処理を、アンチエイリアス処理と言います。 |
絵筆の色を変えるには、「ツールパレット」の左下の「カラーセレクタ」を使います。初期状態では黒くなっている部分をクリックすると、色を選ぶための「カラーピッカー」が表示されますので、これを使って絵筆の色を変更できます。
絵筆の太さを変更するには、「ブラシ選択」と書かれたパネルを使います。「ブラシ選択」が画面に出ていないときは、ツールパレットのメニューから「ファイル→ダイアログ→ブラシ...」を選択します。ここでは、絵筆の太さだけではなくて、形状も変更することができます。 描いたものを消すためには、消しゴムツールを使います。ツールパレットで消しゴムツールを選択し、消したい部分をマウスでドラッグするだけです。このときの消しゴムの大きさや形状も、前述の「ブラシ選択」パネルの設定が有効になっています。 また、キーボードの + を押すことにより、直前の作業を取り消すことができます。 |
キャンバスに自由な絵を描くために、他にも鉛筆とかエアブラシなどが用意されています。どのように違うかは、各自で確認してみてください。表現したいものによってこれらのツールを使い分けて、絵を作成していきます。
ツールパレット上の他のアイコンについては、下記に簡単な説明を書いておきます。